ある時まだよちよち歩きの小さな子どもがビルの壁を流れる人工の滝を指差して「まーまー、あー、あー、じゃー。」と言いました。お母さんは「そう、『じゃー』。大きいねー。」。
私にとってこの光景は衝撃でした。
この子は液体が上から下へ流れる様子が「じゃー」と形容されることを知っているということになります。しかしわざわざ指差して母親に伝えているところを見ると滝を見たのは初めてだったと考えられます。母親の言葉から察して普段見ている「じゃー」は滝よりも小さなもの、お風呂のシャワーや蛇口から出てくる水などでしょう。滝は液体が上から下へ流れるという点以外ではそれらとは明らかに形態が異なります。ビルの装飾として用いられているのならなおさらです。その子は「あれ」という指示語や「水」というごく基本的な言葉よりも先に「じゃー」という擬音語を覚え、さらに応用させていることになるわけです。しかも正しく。
ということを考えていたら電車を乗り過ごしてしまいました。